なるほど!今日から使えるみんなの「Question」〜わかるぞみえるぞ世の中のしくみ〜

日常のいろんなシーンにおける、みんなの悩みや疑問「Question」答えるブログです。ここで仕込んだネタは今日からどんどん使いましょう!

今日の確認したい日経記事(2019/3/31)

AI人材需要、広がる裾野 2年で3倍、金融・不動産目立つ ビジネス経験を重視

(要約すると)

・人材情報サービスのビズリーチの求人データを基に、AI人材(数学などデータに関する高度な知識と、それを基に計算アルゴリズムを考えてプログラミングでシステムに落とし込む技術を持つ人材)の求人状況を2016年と2018年で比較した

・AI人材の求人数は3倍に増えた

・業種別ではIT・通信が6割を占める状況に変わりはない

・金融や不動産の求人が大きく増加(4倍以上)しており、シェアも6%程度を占めている

・傾向として、AI技術に加えて事業戦略の企画を担える人材が求められている。こうした一線級の人材については、人材仲介会社は当該人材の年収の100%の仲介手数料を受けとることができる※通常、年収の30〜40%が相場

私見

・AIを習得した学生をビジネスパーソンとして育てるのと、ビジネスパーソンをAI人材として育てることを比較する。後者については自身の所得を確保しながら学習する必要があるため、学習に使える時間は限定的である

・一方、前者は学生であり、時間も十分にあることから、インターンの形で、座学で学習したAIの知識を実務に応用するスキームが検討できるのではないか

今日の確認したい日経記事(2019/3/ 30)

AI人材「年25万人」へ始動 政府が戦略案公表 企業・大学、育成急ピッチ

(要約すると)

・統合イノベーション戦略推進会議(議長・菅義偉官房長官)は人工知能(AI)を使いこなす人材を年間25万人育成する戦略案を公表

・統合イノベーション戦略推進会議とは、イノベーション推進関連の「総合科学技術・イノベーション会議」「IT総合戦略本部」「知的財産戦略本部」「健康・医療戦略推進本部」「宇宙開発戦略本部」「総合海洋政策本部」の既存の6つの会議に横串を指す司令塔となる会議

・年間1学年あたり約60万人いる全大学生や高等専門学校高専)生について、理工系12万人と保健系6万人。これに文系42万人の15%程度にあたる7万人をAI人材として育てる方針

・AI技術者やデータサイエンティストらを求める動きは業種を超えて激しさを増している。経済産業省は日本の産業界で20年末にAI人材が約30万人不足すると試算

私見

アメリカにはGAFA、中国にはテンセント、アリババといった業界の巨人がおり、巨額の投資が可能となるほか、学会の研究者が企業に所属し、学術研究を産業移転するシステムが存在している。

・一方、日本においては巨大な企業群もなく、AI人材を育てる基盤である大学等高等教育機関についても、国からの補助金と学生から徴収する授業料で細々と運営を行っており、多額の寄付金と自主運用による資金確保の文化のある米国には見劣りする。

・人材を育てる目標を掲げることに全く異論はないが、その基盤である学会および事業者側の発展についても勝算はあるのか疑問である。

今日の確認したい日経記事(2019/3/29)

10月の消費増税まで半年 何が変わる? 消費急変回避へ全力 首相「三度目の正直」へ

(要約すると)

・14年に消費税率を8%に引き上げた後は、同年11月と16年6月に増税延期が表明されてきたが、「今回は予定通り実施する」と見られる

・背景としては、元々、消費税の増税分の使い道について、12年6月、当時与党の民主党と、野党だった自民党公明党の3党合意を社会保障に限っていた。首相はこれを変更し、消費増税見合いで税収の使い道を教育などに拡大。幼児教育の無償化などは10月から始まる予定となっている。これで消費増税が無ければ見合いの財源がない。

増税による増収は年約5.7兆円であるが、14年消費増税時の個人消費の急減に対する反省を踏まえて、総額2兆円の経済対策を実施するほか、約1.7兆円を教育・子育てに使用

経済対策

(キャッシュレス決済へのポイント還元)

・キャッシュレス決済へのポイント還元制度。キャッシュレスで決済した消費者に対し、中小の飲食店や小売店などの買い物の場合は5%分、フランチャイズ店では2%分をポイントで還元する。10月1日から2020年6月末までの9カ月間実施

(プレミアム商品券)

・プレミアム付き商品券も発行する。利用者は1枚あたり400円で、25%分を上乗せした額面500円の商品券を購入できる。最低購入額は10枚セットの4千円(額面は5千円分)、上限は1人あたり2万円(同2万5千円)。購入できるのは住民税非課税の世帯と2歳以下の子どもがいる家庭で、利用できる期間は原則20年3月までの半年間。商品券を発行する自治体にある小売店で使える

(軽減税率)

・軽減税率については、日常生活に欠かせない飲食料品(お酒と医薬品は除く)と定期購読の新聞に限り消費税率は現状の8%据置き

(自動車・住宅)

・自動車や住宅は消費額が大きく経済への影響が大きいため、個別に経済対策を実施

―自動車は購入、保有の各段階で税金を下げる。保有については、自動車税(2.95万〜5.1万)について、10月以降に購入した車は年0.1〜0.45万円引下げ。購入については、現状の自動車取得税が廃止され、燃費性能に応じた環境性能割が導入され、税金は車の最大3%、増税後の1年間は税率を一律で1%軽減

―住宅は住宅ローン減税の延長。期間が10年から13年に延長。対象は20年末までに入居する人。10年目までは年末残高の1%を年末調整や確定申告で所得税などから還付する。11年目以降はローン残高の1%と、購入価格の2%を3等分した額を比べ、小さい方が減税額となる

―住まい給付金も拡充され、現状の510万以下に30万から、775万以下に最大50万給付

―省エネ・耐震性能が高い住宅にはポイント付与

(全世代型社会保障

・全世代型社会保障を目指すため、幼児教育・保育を無償化

―幼児教育・保育の無償化は、3~5歳児は原則として全世帯が対象だ。幼稚園や認定こども園、地域型保育などが全額無料になり、0~2歳児は住民税が非課税の低所得世帯が対象

―認可外の保育施設は0~2歳児が月4万2千円、3~5歳児は月3万7千円を上限に利用料が補助

―費用は年間7764億円を見込み国と都道府県、市町村で分担

―20年4月から実施する高等教育の無償化は、授業料の減免と給付型奨学金の拡充の2つがある。対象は世帯年収の目安が380万円未満の低所得層で、これらの世帯の進学率が8割まで上がった場合の費用は年約7600億円で、最大70万人ほどが対象になる見通し。

私見

・経済対策自体は景気の腰折れをさせないために必要である一方、GDPの2倍以上に膨らんだ政府債務の健全化を先送りするとの意見もある。つまり、経済対策自体の是非は一方向に答えの見えない問題だ。

・ただ、経済対策が未来へのインフラ投資として明確に位置付けられるとどうだろうか。つまり、軽減税率や自動車や住宅等高額商品への補助、教育保育無償化を全て止め、全てキャッシュレス決済に対するポイント還元制度への予算とするのである。

・日本の資金決済に占めるキャッシュレス決済の比率は2割程度と、他の先進国や、キャッシュレス先進国である中国(8割以上キャッシュレス)を大きく下回っている。

・これは、データ活用による産業創出という観点から致命的な問題である。

機械学習といったアルゴリズムによるデータ分析技術がビジネスないし社会全般を今後大きく変える中で、現金経済、つまり資金使徒と資金の動きが紐付かないことは、資金移動というデータ分析に置いて最も貴重なデータ源を産業が活用できないことになる。これは日本における次世代産業の創出という観点から問題である。

・現状、キャッシュレス決済の事業者が自腹でポイント還元を高めて市場のシェアを拡大しようとしているが、キャッシュレス経済の外部経済の大きさを踏まえると、キャッシュレス決済の比率を一気に引き上げるべく政策資源を投入する意義は大きいと考える。

・保育・教育の無償化については、日本全体の人口減少のスピード抑制や社会保障の若年層に対する厚みを増すために必要な政策と考えるため、消費増税とは別途実施するべきである。

 

LINEに電子チラシ ダイエーと実験 属性データ利用

(要約すると)

・LINEは2019年夏にも個人の関心や属性に合わせた電子チラシを対話アプリに配信する事業を始める

ダイエーのイオンフードスタイル港南台店(横浜市)で30日から実証実験を始める。店舗から半径2キロメートル以内に住んでいて、店舗の実験用のアカウントを友だちに登録した2700人を対象に電子チラシを配信

・年齢や性別、家族構成などの情報をもとに利用者の属性を分類。各分類の消費者が興味を持ちそうな商品を予測し、折り込みチラシのデータから選んで配信

・店舗に近距離無線「ビーコン」を設置して消費者のスマートフォンスマホ)を通信させることで、チラシを見た人が来店したかどうかを確認し、電子チラシの効果を測定

私見

・アマゾンなど、ネット購買における個人の属性に基づくターゲティング広告は普及しているが、実店舗への来店客に対する顧客情報に基づくターゲティング広告は実験的な試みである

・スーパーなどはスイッチングコスト(他社への乗り換えに対するコスト)が低いため、顧客のニーズに踏まえた販促ができれば、各店舗の来客数の増加につながる試みと考える

・LINEと組んで同様の試みを行う小売店舗は増えるのではないか。その際、コミュニケーションツールのプラットフォーマーであるLINEの存在感はますます高まるだろう

 

今日の確認したいウォール・ストリート・ジャーナル記事

Inverted Yield Curve Is Telling Investors What They Already Know

(イールドカーブの逆転は景気減速を示唆しているが、景気後退については確かな情報を教えてくれない)

(要約すると)

・米国の10年金利と3か月物が逆転したことで、マーケットは景気後退の確かな指標としてリスク回避姿勢が強まっている

・FFレートの先物は、12月までに60%の確率で1回の利下げを織り込んでいるほか、2回以上は20%の確率となっている

・しかしながら、以下の4つの理由から、投資家は今回のシグナルを捉えて、必ずしもポジション調整をするべきではない

  • Fedは過去2回、3か月と10年物の金利が逆転した局面(1965−1966、1998)において、利下げを行い景気後退入りすることなく景気拡大を維持した
  • Fedによる金融緩和が始まる前は、米国金利にはタームプレミアムが存在していた。つまり、投資家は自身の資金を長期国債に投資し、長期間固定されることに対する対価として、長期国債には短期国債と比べて金利が上乗せされていた。これが金融緩和に伴う国債買入により、足元では存在していないので、タームプレミアム分、長期金利短期金利のギャップは小さくなっており、逆転しやすくなっている
  • イールドカーブの逆転自体は、景気後退がどれだけの時間軸で到来するかは何も示唆していない
  • デューク大学のキャンベル教授によると、イールドカーブの逆転が景気後退のシグナルとして機能するためには、少なくとも四半期は持続しなくてはならない

私見

・25日のアジア株式市場も大幅安になるなど、マーケットのセンチメントは悲観に傾いている

・一方、①欧米な軟調な経済指標、②イールドカーブの逆転というネガティブなイベントが重なったことが要因としては大きく、景気は腰折れしていないと見られる

・「人の行く裏に道あり花の山」である

今日の確認したい日経記事

「米株の強みとコストの怖さ」バフェット氏が助言

(要約すると)

アメリカの著名投資家で「オマハの賢人」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、同氏が経営するバークシャー・ハサウェイの株主に年1回手紙を送付する

・今年の手紙には、アメリカに投資するメリットと投資のコストを抑制する重要性が強調されていた

・足元数年の米国株は、IT大手の成長に支えられ、世界の他地域を抜きん出たパフォーマンスを残した

・背景には、米国企業の株主還元を重視した姿勢があり、個人金融資産に占める株式の比率が高く、株式市場の上昇が米国国民の資産拡大に直結する構図となっており、企業は社会的にも株高の責任を負っている

・コスト抑制については、バフェット氏自身は割安株への集中投資を行うスタンスであるにも関わらず、一般投資家に対しては、低コストのインデックス投資を推奨している

・長期投資を前提とすれば、コストの差は複利計算により大きな結果の差異を産む

・高コストのアクティブ運用についても、インデックスプロバイダーであるS&Pダウ・ジョーンズ・インディシ

ーズによると、過去15年の米国株アクティブ運用の9割が市場平均を下回っている

・バフェット氏は、妻への遺言に遺産の9割をS &P500に連動するインデックス投信で運用するよう書いているとのこと

私見

・バリュー投資で成功してきたバフェット氏が、インデックス投資を推奨するというのは矛盾しているようではあるものの、真理を伝えていると言える

・子供の教育費や友人の結婚式が立て続けに遠方で行われるといった急な出費など、個人においては投資を制約する様々な要因があり、投資金額を制約するだけではなく、その心理に大きく影響を与える

・自身の家計が苦しい状況下において、保有するバリュー株が割安なまま放置される、ないし更に下落した場合、個人は保有を継続することができるだろうか(できるのであれば運用会社に転職することをお勧めする)

・大多数の個人にとっては、低コストの投信・ETF(ベストは分配金再投資の投信)で、ドルコスト平均法で定時定額投資を行うことが、長期の資産形成に最も寄与すると考える

r.nikkei.com

位置情報で日常「捕捉」、ジャパンタクシーに行政指導

・日本交通系ジャパンタクシーがユーザーに十分な説明をせずに位置情報を利用し、個人情報保護委員会から行政指導を受けた

・同社のアプリは、スマートフォンGPSを通じ、位置情報を集めるが、ユーザーが想定していない範囲のデータも収集していた

・例えば、乗客の性別を車内カメラで判別し車内広告を変えていたほか、下車後も位置を追跡しどの店を訪問したかも確認していた

・位置情報は日本の個人情報保護法が定める個人情報に該当しないため、現状はユーザーの同意なく企業間で共有することが可能

・個人に利便性をもたらす一方、私的な生活が特定されることから、企業側には丁寧な説明が不可欠

私見

・テクノロジーが進化するにつれ、情報を解析する能力が高まり、個人の私生活の特定が可能になる一方、特定した情報に基づくサービスの提供は私達の生活の質を向上させる面もあり、プライバシーの保護と利便性の向上は完全にトレードオフの関係にある

・問題なのは、テクノロジーの進化の前に、我々ユーザーの中で、どこまでが守秘するべき私的生活の領域なのか、議論が深まっていないという点である

・かかる問題に対してユーザーが直接意思表示する手段はなく、当局と事業者側の擦りあいで対応は決まると見られる

・だが、正直なところ、大多数の人々にとっては、私生活の守秘は自身の日常によっぼどネガティブな影響を与えない限り、過度に自分にカスタマイズされた広告などは気味が悪いといった感情程度で済むのではないだろうか

・むしろ、当局が過度に規制寄りの姿勢となり、事業者側も萎縮することで、新たなビジネスの創出が阻害されることのマイナスの影響を危惧する

r.nikkei.com

受給前の補助金 担保に 中小企業庁が新制度

(要約すると)

中小企業庁は国の補助金を担保に企業(スタートアップ)が資金調達できる新たな仕組みを創設した

中小企業庁補助金を決定し、公文書を基にフィンテック企業であるトランザックスが電子債権を作成する。中小企業が保有するこの電子債権を担保として、地銀など金融機関が融資を行う

私見

・はっきり言って無駄

・国民の税金で国は補助金を使い、その補助金の一部が新興企業に手数料の形で落ちるほか、地銀や信金など金融機関が本来はリスクテイクして拠出するべき資金の担保として用いられることになる。しかも、やはり補助金の一部はこれら金融機関に利子の形で配分される

・そもそも、国が補助金を出し、その補助金を担保としなければ資金を拠出できない金融機関に存在意義はあるのだろうか

・国は、国民の税金を用いることができるほど、企業の目利き力を備えているのだろうか。しかも、それを専業とする金融機関よりも

・このような事業については、費用対効果をはっきりと検証してほしい(検証しても新たな税金ザル政策が実施されるだろうが)

補助金など、おためごかしのスタートアップ支援ではなく、国内で構造的にスタートアップ企業(将来のGoogleAmazon)が育つことができる経済システムの構築について、当局には真剣に考えてほしい。そこには、当然なぜ今まで育てることができなかったのか、という反省が求められるが

r.nikkei.com

 

米国の中央銀行制度

・記事中に米国の中央銀行制度に関する単語が複数回出ているので、以下簡単に解説する

 

FOMC(Federal Market Committee、連邦公開市場委員会

アメリカの金融政策を決定する会合

・原則、年8回(2019年は1、3、4、6、7、9、12月)、1〜2日に渡り開催

・参加者は、委員長(FRB議長)、副委員長(ニューヨーク連銀総裁)、FRB理事、各地区連銀総裁(4名、輪番制)

・各地区連銀のベージュブック(景況報告)やFRB調査統計局のグリーンブック(経済報告)をベースに議論を行い、参加メンバーの多数決で政策金利(FFレート)の水準や景況判断を決定する

・最終日(アメリカ東部14:15頃)に声明文・政策金利(FFレート)の水準を公表、議事要旨(今後の金融政策の見通し)を最終日の3週間後に公表

FRB(Federal Reserve Board、連邦準備制度理事会

アメリカの中央銀行制度であるFRSの最高意思決定機関

・7名の理事から構成。大統領が指名し、上院の承認を経て就任

・議長、副議長の任期は4年。ただし再任可能

・理事の任期は14年。前任のイエレン議長は任期途中の辞任である(理事としては2024年までが任期だった)

FRBの傘下に各地区連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)があり、実際の中央銀行業務を行っている

FRB(Federal Reserve Banks、連邦準備銀行

・全米50州を12地区に分け、以下の各地区に連邦準備銀行が存在

⇨ボストン・ニューヨーク・フィラデルフィアリッチモンドクリーブランドアトランタ・シカゴ・セントルイスミネアポリス・ダラス・カンザスシティー・サンフランシスコ

・元々は、各地区の民間銀行が資金を拠出し、特定の銀行が危機に陥った際に助けることが目的

・主要業務は、①加盟銀行に対する適格手形再割引および貸付、②加盟銀行の支払準備金の受託、③連邦公開市場委員会の指令に基づく公開市場操作、④連邦準備券の発行

FRS(Federal Reserve System、連邦準備制度

アメリカの中央銀行制度

・略称はFedFRBFOMC等の総称として用いられる)

・1913年12月23日の連邦準備法Federal Reserve Actに基づいて設立

FFレート(Federal funds rate)

フェデラル・ファンドは、米国の民間銀行が連邦準備銀行に預託する無利子の準備金(義務付けられている)

・民間銀行は、金融市場における取引や送金等にかかる資金決済をフェデラル・ファンドを通じて行うので、当然過不足が生じ、短期金融市場における資金取引でフェデラル・ファンドの残高を調整する必要がある

・FFレートとは、各民間銀行がフェデラル・ファンドを維持するために、短期金融市場で調達する実勢の金利を指す

連邦準備制度理事会は、公開市場操作によって、FFレートをFOMCで決定した政策金利の水準に誘導する

今日の確認したいウォール・ストリート・ジャーナル記事

Collapsing Yields Could Head Even Lower

(大幅下落の米国金利は、まだ下げ余地がある)

(要約すると)

・現状の政策金利の中央値は2.375%であるが、10年国債はこれをわずかに上回る水準(2.46%)まで低下している。足元の米国金利の大幅下落は、Fedの金融政策によるものであり、金利低下の要因となることが多い何らかのリスクオフイベントに基づくものではない

・水曜日のFOMCの参加メンバーの政策金利見通しは、年内利上げなし、2020年に利上げ1回である。12月のFOMCでは年内2回の利上げの見通しであったことから、Fedの政策スタンスは大幅にハト派寄りに転じたと言える

・マーケットのコンセンサスもハト派に傾いており、金利先物は年内の利下げを織り込んでいる。長期金利の低下は経済の弱さを示すという、分かりやすいストーリーに市場の参加者は囚われている

・しかし、①企業のデフォルトリスクが高まっていることを示唆する指標はないことや、②昨年ほどの伸びではないにしろ、企業業績は今年も堅調推移が見込まれること、また③足元の軟調な経済指標は政府閉鎖の影響が大きいこと、④ECBも金融政策のスタンスをハト派寄りに転じていることなどから、今後景気減速が加速することは見込み難い

・最終的には景気は上向いていくのではないか

私見

・昨年12月から足元において世界的に軟調な経済指標が多く発表されているが、これは米中貿易対立や中国当局による債務削減といった景気引締め政策に伴う政策要因であり、昨年の時点から見通せていたことである。

・つまり、市場に対する見方を根本的に変える事象は発生しておらず、Fedは年内の利上げスタンスを大幅に変えているが、これは過度に景気悪化寄りに見通しを変えてしまったと言えるのではないか

・むしろ、中国が景気刺激の方向に政策スタンスを変えるなど、欧米日中の財政政策が景気刺激寄りとなっていることを踏まえると、景気は改善方向に向かうのではないだろうか

・マーケットは人間同様、足元の情報のみで物事を判断し、整合的なストーリーを作り出す傾向にあることに注意する必要がある

Collapsing Yields Could Head Even Lower