米国の中央銀行制度
・記事中に米国の中央銀行制度に関する単語が複数回出ているので、以下簡単に解説する
FOMC(Federal Market Committee、連邦公開市場委員会)
・アメリカの金融政策を決定する会合
・原則、年8回(2019年は1、3、4、6、7、9、12月)、1〜2日に渡り開催
・参加者は、委員長(FRB議長)、副委員長(ニューヨーク連銀総裁)、FRB理事、各地区連銀総裁(4名、輪番制)
・各地区連銀のベージュブック(景況報告)やFRB調査統計局のグリーンブック(経済報告)をベースに議論を行い、参加メンバーの多数決で政策金利(FFレート)の水準や景況判断を決定する
・最終日(アメリカ東部14:15頃)に声明文・政策金利(FFレート)の水準を公表、議事要旨(今後の金融政策の見通し)を最終日の3週間後に公表
FRB(Federal Reserve Board、連邦準備制度理事会)
・7名の理事から構成。大統領が指名し、上院の承認を経て就任
・議長、副議長の任期は4年。ただし再任可能
・理事の任期は14年。前任のイエレン議長は任期途中の辞任である(理事としては2024年までが任期だった)
・FRBの傘下に各地区連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)があり、実際の中央銀行業務を行っている
FRB(Federal Reserve Banks、連邦準備銀行)
・全米50州を12地区に分け、以下の各地区に連邦準備銀行が存在
⇨ボストン・ニューヨーク・フィラデルフィア・リッチモンド・クリーブランド・アトランタ・シカゴ・セントルイス・ミネアポリス・ダラス・カンザスシティー・サンフランシスコ
・元々は、各地区の民間銀行が資金を拠出し、特定の銀行が危機に陥った際に助けることが目的
・主要業務は、①加盟銀行に対する適格手形再割引および貸付、②加盟銀行の支払準備金の受託、③連邦公開市場委員会の指令に基づく公開市場操作、④連邦準備券の発行
FRS(Federal Reserve System、連邦準備制度)
・1913年12月23日の連邦準備法Federal Reserve Actに基づいて設立
FFレート(Federal funds rate)
・フェデラル・ファンドは、米国の民間銀行が連邦準備銀行に預託する無利子の準備金(義務付けられている)
・民間銀行は、金融市場における取引や送金等にかかる資金決済をフェデラル・ファンドを通じて行うので、当然過不足が生じ、短期金融市場における資金取引でフェデラル・ファンドの残高を調整する必要がある
・FFレートとは、各民間銀行がフェデラル・ファンドを維持するために、短期金融市場で調達する実勢の金利を指す