なるほど!今日から使えるみんなの「Question」〜わかるぞみえるぞ世の中のしくみ〜

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今日の確認したいウォール・ストリート・ジャーナル記事

BlackRock Has Never Charged This Little for an Index Mutual Fund

(ブラックロックはミューチュアルファンドで信託報酬を大幅に削減)

(要約すると)

機関投資家向けに提供するS&P500に連動するミューチュアルファンド(米国における投信に相当)の信託報酬を0.04%から0.0125%に削減。ただし、25億ドルが最低投資金額

・背景にはアクティブ運用からパッシブ運用へのトレンド変化と、パッシブ運用を提供する運用会社間での信託報酬切下げによるシェア争いがある

・米国における株式アクティブ運用全体の運用資産(ミューチュアルファンド)は、ここ数年6兆ドル強で横ばいである一方、株式パッシブ運用の運用資産(ミューチュアルファンド)は10年前は0.5兆ドル程度だったものが、足元は2.5兆ドル強まで5倍近く急増している。

・また、パッシブ運用の信託報酬も大きく切り下がっており、10年前は0.18%であったが、足元は0.08%となっている。

・年金など資産運用残高の大きい投資家は、僅かな信託報酬の削減であっても、長期的なパフォーマンス見合いで重視する傾向にある

・S&P500に連動するミューチュアルファンドで最もコストが低い運用会社はバンガードであり、信託報酬は0.01%である。ただし、最低投資金額は50億ドルである

(私の意見)

・信託報酬に低下圧力がかかり続ける以上、パッシブ運用においては買収などにより規模を拡大し、コストメリットを活かさない限り、ビジネスを維持することが困難になると見られる

・アクティブ運用についても、平均的にベンチマークに対して負けることがコンセンサスとなっているほか、同じく信託報酬の低下圧力も続いており、やはりビジネスとして苦しい

・資産運用業界は合併により規模を拡大する会社と、ブティック型でトップティアのパフォーマンスを確保することができる一部の会社に2極化していくのではないか

・米国で起きたことが時間差で日本にも起きる傾向にあることから、今後日本の資産運用業界においても、米国と同じトレンド(信託報酬の削減、パッシブ運用の台頭、ブティック型のアクティブ運用会社の淘汰)が見られると考えられる

BlackRock Offers Its Lowest Ever Price for Index Mutual Fund

 

Fed Keeps Interest Rates Unchanged; Signals No More Increases Likely This Year

Fed政策金利を変更せず、年内の利上げはない見込み)

(要約すると)

FedFOMCにおいて、政策金利の据置きを決めたほか、ドットチャート(FOMC参加メンバーの金利見通しの分布)は、2019年の利上げはないことを示唆。参加メンバーの17名中11名が2019年の利上げなしを支持

・また、現状のFedの4兆ドルのバランスシート縮小は、9月で打止めとすることを決定。資産構成について、満期を迎えたMBSの残高は国債に入れ替えることで残高を維持する。

Fedは低下する失業率を歩調を併せる形で、2015年から金利を引き上げてきたが、インフレは低位に抑制された水準を保っており、失業率の動きとの乖離が広がっている。Fedはインフレを加速させることなく雇用を拡大できる余地がある、と見解を修正したと見られる。

(私の意見)

・都市部の住宅価格の高騰や、教育ローンなど個人向け融資残高の積み上がりなど、既に金融緩和政策の負の影響は実態経済に表れている

・足元の景気減速は、トランプ政権の貿易姿勢が一因となっている中国と欧州の景気減速と、その負の影響が自国に跳ね返っている結果

Fedの金融政策がハト派寄りとなり、今後は中国の経済対策の効果が表れることや、米中貿易協議の進展など、ポジティブなイベントに支えられて景気が想定外に過熱するリスクが高まった。

・つまり、着地台が高まることで次のリセッションの下げ幅が拡大する一方、Fedの実施できる緩和政策は、バランスシート圧縮や利上げの打止めにより、政策余地が小さく、景気悪化に対する対応が限られることになる。

・既に過去最高水準まで政府債務が積み上がっている中で、財政政策を打てば一層の債務積上げにつながり、米国のソブリンリスクの高まりから、金利が急騰するリスクもある。

・通常、景気後退局面(例えば2008年の金融危機)では金利が低下し、下落する株式のマイナス寄与を一部相殺することが期待されるものの、上記のシナリオの場合、世界最大の資産クラスである米国の株と債券がともに下落することになるため、全世界の年金や個人のポートフォリオが毀損し、一層の景気悪化につながる可能性がある。

Growth Fears to Keep Fed on Hold