今日の確認したい日経記事
世界的な企業のカネ余り
(要約すると)
・グローバル企業(世界100か国、1万5千社)の2018年度の株主還元(配当と自社株買)は約265兆円と10年前の2倍の規模
・要因は、①主な資金の振向先である設備投資の減少、②日米欧の中央銀行による金融緩和、③他に有望な投資先がない
・①については、産業構造において、設備投資を必要とする鉄鋼や素材、自動車等の製造業から、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など、知識集約型のIT産業のウェイトが上昇していることが挙げられる。
(私の見解)
・中央銀行による金融緩和の目的の一つには、企業の資金調達のハードルを下げ、リスクをとって収益機会の獲得を促すことにあるものの、結果として有望な収益機会を見つけ出すことができず、カネ余りが進んでいることが明らかとなっている。
政府、景気の総括判断を下方修正
(要約すると)
・政府は景気の総括判断を「緩やかに回復している」から「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られるが、緩やかに回復している」に下方修正
・中国経済の減速に伴う輸出や生産の弱含みが背景
・一方でGDPの7割を占める個人消費など内需は堅調であり、景気は依然回復局面としている
(私の見解)年後半にかけては、①中国政府による約33兆円の経済対策の効果が出てくることや、②10月の消費増税についてもポイント還元など過剰とも言える経済対策を打ち出していることから、景気は回復基調が続くと見られる。
楽天は携帯料金規制の対象除外
(要約すると)
・総務省による携帯電話の端末代と通信料の完全分離を義務づける規制(今国会に法案提出予定)について、楽天は対象外
・大手3社(ドコモ、ソフトバンク、KDDI)の市場独占を是正するため
(私の見解)
従来は大手3社が高シェアを背景に安定的に収益を確保できており、キャッシュフローは潤沢であるにも関わらず、結局は米国のGAFAのような革新的な新たなビジネス機会、ITプラットフォームを創出することはできていなかった。むしろ、アップル製品などを抱き合わせで販売することで既存のビジネスの維持に窮していたと言える。楽天のような携帯市場の参加者を増やすことで、消費者の利益に寄与する携帯料金の引下げを行うことは当然であると考えられる。
(要約すると)
・テーマ型の指数(データ経済や宇宙開発)に連動したパッシブ運用が米国で増加しており、5年で7倍の138億ドル程度まで増加している。
・テーマ型の投信はアクティブ運用のため、信託報酬が2%弱である一方、指数に連動したものはパッシブ運用のため、1%弱となっている。
(私の意見)
・テーマ型の投信については、アクティブ運用、パッシブ運用ともに投資するべきではない
・そもそも、テーマ型ということは市場で旬の銘柄、つまり既に割高になっているものに投資する傾向がある
・アクティブ運用については①信託報酬が高過ぎる、②平均的にアクティブ運用は時価総額加重のインデックス(TOPIXやSP500など)に負ける。また、特定のアクティブ運用の投信のパフォーマンスが良好に見えても、継続的に勝つことは困難であり、およそパフォーマンスは平均回帰する傾向にある。
・パッシブ運用であっても、TOPIXなど時間総額加重の指数をベンチマークとするETFであれば信託報酬は0.10%以下である。年間1.0%近くのパフォーマンス差をテーマ型指数は出すことができるのだろうか
・時間総額加重ではない指数として、スマートベータが挙げられるが、バリューやモメンタム、低ボラテリティといった指数は、過去のデータでパフォーマンスが検証されているほか、裏付けとなる理論的な説明が学術的に示されているものである。テーマ型指数にも同様の裏付けが確認されない限り、投資は控えるべきと考える