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心理学①(システム1(直感的思考)とシステム2(論理的思考))

・ある例え話をしよう。

・ある野心家の会社員A氏が、社運を賭けたある事業横断プロジェクトのキックオフミーティングに参加した際、見た目や振る舞いの冴えないメンバーB氏がいた。A氏は社内では有望株として注目を集めており、自身もその自覚がある一方、今までB氏との面識はなく、その存在も認知していなかった。このため、B氏はたいした奴ではないだろうし、仮に最近台頭してきた人間であれば潰すべきと考え、つい尊大な態度をとってしまい、逐一ミーティング中の彼の発言を否定するような言動までしてしまった。その後、実はB氏はプロジェクトを統括する役員C氏が肝入りで競合他社からヘッドハンティングした人材であることが判明し、役員C氏の不興を買ったA氏はプロジェクトから外されることになった

・A氏は、会社員人生にとって致命的なミスに繋がる言動を、B氏が冴えないという自らの直感に基づき行ってしまった。この事例は言動の結果がA氏に大きくマイナスの影響を与えているが、この記事をご覧になっている方においても、日常生活において、自身にマイナスの影響として跳ね返っていないだけで、直感的な思考に基づき行動する場面が多々あるのではないだろうか

・人間は、無意識のうちに起動する直感的な思考系と、注意を払うことで機能する思考系の2つが存在する

・人間である限り、この思考システムから逃れることはできない。ただし、その特徴を把握することで、より良い意思決定を行うことができる

ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマン氏は、人間の思考には、システム1とシステム2が存在するとしている

システム1は、意思とは無関係に働き、日常生活の大半の問題を処理するが、エラーをもたらすバイアス(判断結果の偏り)が発生する(直感的な思考)

・自動的に高速で機能するため、自身でコントロールしている自覚はない

システム2は、システム1の対応が困難な問題を処理する際に働く。評価対象を複数の観点から評価することや、複数の選択肢から熟慮の上に選ぶといったことが可能。システム1と異なり、意識的に機能させる必要があり、怠け者のシステムとも言える(論理的な思考)

・冒頭の事例においては、A氏はシステム1のうち、ハロー効果と呼ばれるバイアスに基づき行動を行っている

・ハロー効果とは、第一印象で抱いた感情で対象の様々な解釈が左右されることである。好意を抱いた相手については、他の評価項目も全て押し上げられる(逆も然り)。初対面で①信頼できるか、②支配力はあるか、といった2つのことが、自動的に判断される

・また、A氏は自信過剰バイアスに基づいた行動も行っている。自信過剰バイアスとは、手持ちの情報の量や質を考慮することなく、整合性のあるストーリーを構築できれば自信を深める傾向のことであり、A氏についても、手元の情報(B氏は冴えない、今まで目立っていなかった)から、自身が納得できる整合的なストーリー(B氏は大したことがなく、そうでなくても出た目は潰すべき)を構築し、行動に移している

・もちろん、B氏が本当にコネもなく大したことのない人間であれば、A氏の行動は問題ないものであっただろう

・ただ、もし社運を賭けたミーティングであるという場所を踏まえて、慎重に判断を行うことができていれば(システム1を抑制し、システム2を使えていれば)、取るべき行動は異なるものとなっただろうし、結果も当然異なるものとなったはずである

・つまり、システム1の特徴を知り、対抗策を考えることができれば、より良い意思決定ができるということである

・今後、このブログにおいては、読者の方のより良い意思決定の一助となることを願い、システム1の特徴等を紹介していきたい